Firmianaの落書き

プログラミング関係のことを中心に書きます(多分)

学術オリンピック非公式まとめサイト更新記録(~2023.10.17)

はじめに

一月ほど前に公開した以下の記事で書いたように、私は学術オリンピックに関する情報や予定を発信するウェブサイト「学術オリンピック非公式まとめサイト」を製作しました。

firmiana.hatenablog.com

firmianai7z9.github.io

公開から1か月ほど経過して、現在までに約300人程度の方に閲覧して頂けており、まだ公式Twitter(現X)も50人以上の方にフォローしていただいています。本当にありがとうございます。今後も様々な情報を発信していくつもりですので、よろしくお願いいたします。

さて、公開から今までの約1か月の間、私は様々な機能をサイトに追加、また改修を行ってきました。そのため、備忘録も兼ねてここに実装した機能等を書いていきたいと思います。なお、同様の記事を今後約2ヶ月に1回程度のペースで書く予定です。

機能追加・改修

月別カレンダー機能/簡易リストカレンダー機能の追加

月別カレンダー

firmianai7z9.github.io

前回の記事で言及していたリスト式カレンダーに加え、PCなど画面の大きいデバイス向けに月別のカレンダーとして予定を表示する機能を作成しました。

当初、予定を一覧で確認するには「スケジュール」機能を用いることになっていましたが、見やすさの都合でエコノミクス甲子園や科学の甲子園など、都道府県単位の予選を伴い、開催回数が非常に多くなる大会を全て表記することが出来ていませんでした。「カレンダー」機能では一つの予定あたりの情報量を削減して、代わりにそれらの大量の予定をまとめて表示しています。

また、「スケジュール」機能では開始日程のみを掲載するため、複数の日に跨るような予定があると、予定被りを正確に表現できません。その点「カレンダー」機能では日ごとに情報を表示するため、予定被りが分かりやすくなっています。

予定被り情報ページの追加

予定被り情報ページ

firmianai7z9.github.io

上記に関連して、日程ではなく予定が被っているかどうかに重点を置いた情報ページも作成しました。

現在分かっている各大会の予定に対し、被る予定がない場合は緑のチェックマーク、一部の予定が未確定で被る可能性がある場合はオレンジの「!」、確実に予定が被る場合は赤色の「!」、そもそも日程が不明な場合は灰色の「?」を表示して視覚的にも分かりやすくなっています。また、国内大会だけでなく国際大会の情報にも対応しています。

国内大会/国際大会公式ページのリンクリストの追加

firmianai7z9.github.io

現時点でサイトの存在が確認できている、国内大会のホームページ、国際大会のホームページと年度別の国際大会のホームページのリンク集になります。

元々はサイト運営のためにいわゆる「自分用」として作成しましたが、折角なので公開することにしました。まだ一切CSSを当てていないので見辛いことこの上ないですが、需要が大きいようであればレイアウトの改良等行いたいと思います。また、現時点でサイトの存在が確認できていない大会も複数あるため、URLが確認でき次第追加していきます。

可読性向上のための分野カラーリングの変更

当サイトをインターネット検索で見つけてもらうために、ウェブページの速度チェック等を行っていました。その中に可読性の項目が含まれており、数学オリンピックや科学地理オリンピックのカラーリングが見辛い状態になっていると怒られたため、修正しました。基本的な背景色は極力変えず、文字の色を白から黒に変更するなどしています。数学、生物学、科学の甲子園、言語学、科学地理、脳科学がカラー変更の対象です。

リリースノートの追加

firmianai7z9.github.io

サイト更新に関する情報をどこにも掲載していなかったので、「当サイトについて」のページからGitHubWiki機能で作成したリリースノートに遷移できるようにしました。また、このページ自体にも現在のバージョン等を記載するようにしました。

軽量化(サイズ・読み込み)

カラーリング変更の項で既に書きましたが、SEO対策の一環でサイトの軽量化を行いました。

まずHTML中の無駄なインデントや改行をサイト更新前に削除し、ファイルサイズを圧縮しました。次にCSSで用いるクラス名を最大3文字に短縮、CSSファイルも無駄なスペースと改行を削除し圧縮しました。この段階でサイトのヘッダー部分をJQueryで全ページ共通の外部ファイルから読み込んでいましたが、サイト生成時の遅延行為になるため全て埋め込みました。

バックエンド面

ページ更新日時設定自動化(Python)

更新の様子が分かりやすいようにサイトの各ページに更新日を表示するようにした一環として、Pythonで更新日時振りを自動化しました。

初めは埋め込みJavaScriptでhtmlファイルの更新日時を取得し、表示させるようにしていましたが、GitHub Pagesの仕様上、ファイル群をビルド(?)しているようで、更新日が全て最後にページをビルドした日程、つまり全ページ同じ日になってしまうことが分かりました。そのため手元にて手動で更新日を振るように変更しましたが、効率が悪いうえ忘れます。ということで、以下に示したコードを作り、サイト編集作業が終わった後に起動してリポジトリ内のhtmlの更新日時を変更しています。(Python初心者なので処理効率は見逃してください)

import datetime
import os
import re

dir_path=r"< folder_path >"

for current_dir, sub_dirs, files_list in os.walk(dir_path):
  for file_name in files_list:
    root, ext = os.path.splitext(file_name)
    if ext == '.html':
      date = datetime.datetime.fromtimestamp(os.path.getmtime(os.path.join(current_dir, file_name)))
      now = datetime.datetime.now()
      if date.year != now.year or date.month != now.month or date.day != now.day:
        continue

      rep = '<p class="ud">' + str(date.year) + '年' + str(date.month) + '月' + str(date.day) + '日</p>'

      with open(os.path.join(current_dir, file_name), 'r', encoding="utf-8") as f:
        content = f.read()
        content = re.sub('<p class="ud">.*</p>', rep, content)
        with open(os.path.join(current_dir, file_name), 'w', encoding="utf-8") as w:
          w.write(content)

スケジュール表示の横幅調整自動化(Python)

こちらはメインページやスケジュールページで表示している、色付きコンテナ型のアイテムに関する処理です。

スケジュールの表示方法の関係で、特に科学地理オリンピックや都道府県大会など、表示が長くなるものがあるため、これまでは手動で文字の横幅の圧縮率を調整していましたが、流石に面倒になってきたので自動化してみました。全角文字を19px、半角文字を9pxと見做して計算しています。

import bs4
import copy
import math
import os

dir_path=r"< folder_path >"

for current_dir, sub_dirs, files_list in os.walk(dir_path):
  for file_name in files_list:
    root, ext = os.path.splitext(file_name)
    if ext == '.html':
      with open(os.path.join(current_dir, file_name), 'r', encoding="utf-8") as f:
        content = f.read()
        soup = bs4.BeautifulSoup(content, 'html.parser')
        ret = soup.find_all(class_='si')
        if len(ret) == 0:
          continue
        for item in ret:
          s = item.find_all(class_='nr')[0]
          t = copy.deepcopy(s)
          cntc = 0 #半角文字(ASCII)
          cnto = 0 #全角文字(非ASCII)
          for c in s.string:
            if str(c).isascii() == True:
              cntc += 1
            else:
              cnto += 1
          val = max((cntc * 9 + cnto * 19 + 9) / 260 - 1, 0) * 20
          res = math.ceil(val) * 5
          if res > 105:
            print(str(t) + 'in' + file_name + 'is too long.')
            res = 105
          
          if res != 0:
            s['class'] = ['nr', 'n' + str(res)]
          else:
            s['class'] = ['nr']
          content = content.replace(str(t),str(s))
        with open(os.path.join(current_dir, file_name), 'w', encoding="utf-8") as w:
          w.write(content)

SEO

GoogleSearchConsoleへのインデックス登録

サイト公開時からsitemap.xmlを作成し、SearchConsoleに登録していましたが、現時点で53ページ中30ページのインデックス登録が確認できました。つまりGoogle検索から閲覧できるということです。思ったより早くて驚いています。

今の段階でも、Google検索からこのサイトに来てくれている方も少数ながらいるようなので、よりサイトの機能や情報を拡充してSEO精度を上げていきます。

メタディスクリプション等SEO対策

上記に関連して、さらにGoogle検索でタイトルと共に表示される説明文(メタディスクリプション)の登録も行いました。現時点では初期に適当に追加した文が全ページ共通で表示されているかと思いますが、ページごとに修正しています。

今後(2023.11以降)の予定

サイトデザイン改良

個人的にメインページの使い勝手が良くないなー、と思っているので近々改修を行います。主な変更点としては、

  1. ページ下部の「最新情報」「直近の予定」「コンテスト一覧」を削除し、各ページへのリンクに置き換え
  2. 「本日の予定」欄追加
  3. サイト更新情報等の通知欄明確化
  4. Twitterアカウント等リンクのCSS対応

を考えています。メインページに大量に情報を置くのではなく、ハブ的な役割にしていくつもりです。

また、上記でちらっと触れましたが、サイトにある剥き出しのリンクをある程度ボタン化していこうかなと思っています。特にスマホだと、私自身指が太いので押し辛いです。

最新情報ページ更新開始

……これは早急に対応していきたいです。ページが存在するだけで全く機能していないのは不味いです。

これだけ遅れているので、情報の簡単な絞り込み機能くらいは作ろうかなと思っています。


本記事および本ブログ内のソースコード表示には以下リンクに掲載されているCSSおよびJavascriptを使用しています。

www.okb-shelf.work

執筆予定memo

プログラミング

注釈:*1

ゲーム開発

  • 地理ゲー「MAPro.」を作った[執筆中]
  • 自力で2DRPGを作る(シリーズ)
  • プロセカみたいな音ゲーを作る(シリーズ)[執筆中]
  • ダンカグみたいな音ゲーを作る(シリーズ)

ソフトウェア開発

  • 緊急地震速報をSlackに投げるbotを作った[執筆中]
  • 地図帳風地図作成ソフトウェアをJavaで作った

ウェブ開発(ブラウザゲーム除く)

  • みんはや式クイズ練習用サイトを作った
  • USSAO更新記録

競技プログラミング

  • AtCoder色変記事(未定)

競技科学

  • OMC色変記事(未定)
  • JOL参加記 [書いた]


*1:「作った」は単発、「作る」はシリーズ

学術オリンピックの非公式まとめサイトを作った話


はじめに

 先日Twitter(現X、一意性を優先して以下Twitterと書きます)の方で、「学術オリンピック非公式まとめサイト」と題したウェブサイト(GitHub Pagesで作成)を公開しました。

firmianai7z9.github.io

 需要は無いと思いますがブログなので(!?)、このサイト、および一緒に運用しているTwitterアカウント「学術オリンピック非公式お知らせbot (手動)」を作った経緯と、現在行っていること、および今後の展望について書きたいと思います。私事が結構入りますが、よければ読んでください。なお、以降では「競技科学」と「学術オリンピック」とを同じものとして扱っています(厳密には違うでしょう)。また、最後の「今後について」にはそこそこ周知したい内容も書いているので、そちらだけでも読んでいただけると幸いです。

https://twitter.com/acaoly_notifi

経緯

I - 競技科学に熱中するのが遅すぎた

 今回書く経緯の中でこれが最も重きを占めます。私が最初に競技科学に触れたのは、中学2年生のときに受けた日本ジュニア数学オリンピック(JJMO)でした。学校からの案内で数学オリンピックの存在を知り、友人数名と一緒に出場しました。結果は3点と、本選以降には遠く及びませんでしたが、競技科学のほんの端に手を伸ばしました。ただ、この時点では数学オリンピック以外の学術オリンピックは知りませんでした(科学の甲子園には出ましたが)。

 その後、中学3年生と高校1年生のときには日本数学オリンピック(JMO)のみに出場し、高校2年生になって初めて物理チャレンジ(JPhO)と化学グランプリ(JChO)など、数学以外の学術オリンピックについて具体的に知り、興味を持って出場することに決めました。最終的に、数学、物理、化学に加え、日本天文学オリンピック(JAO)にも参加しました――が、他にも興味のあった地学(JESO)、地理(JGeO)、情報(JOI)のオリンピックには躊躇して出場しませんでした。

 高校3年生になって、この記事を書いている現在(二次試験半年前)までに物理と化学には出場し、地学、情報、言語学(JOL)には出場する予定です。ただ、受験期になって土日の模試が増えるにつれ、競技科学の大会が模試と被ったり、そもそも高3生に本選出場の権利が無かったりなど、国際大会に挑むチャンスや、物理、化学以外の分野での交流の機会を逃しました。高2までに身を入れて、受けたいものを全部受けておけばよかったと今も後悔していますし、これからも悔やむと思います。英語などコミュニケーションに自信が無いながらも、国際大会に出場した方々をSNS等で見て、勝手に憧れていたので。

II - 競技科学の情報を十分得られていなかった

 以上のように、私は自らが満足するほど競技科学に踏み込めませんでした。その原因として、競技科学自体を"私が"よく知らなかったということと、前述した「躊躇」があります。もちろん学術オリンピックの本選に進み、賞を獲得するには相当努力が必要なので、「私程度の実力で大丈夫か?(結果、大丈夫じゃなかった)」という躊躇いも含まれます。ただもう一つ、「独りで大丈夫か?」という心境があって、高2の間、地学や地理、情報など、参加できそうだった大会に参加しませんでした。

 私が住む四国は、競技科学での存在感があまりありません。すなわち、競技科学に参加している人数が単純に少ないと考えられます。例を挙げるなら、今年(2023年)の物理チャレンジ第2、化学グランプリ二次、生物学オリンピック本選*1への参加者約260名のうち、重複を許して計4人*2しか参加していません。単純に370万という四国の人口を考えれば100歩譲って妥当とも言えますが、同校内でのこうした競技科学の大会への参加意欲の低さは肌で感じます。

 何が言いたいかというと、私は高2の物理チャレンジ二次にて、コミュ弱であるがためにほとんど交流を行えなかったことを気にして、「どうにか同校の人と一緒に参加したい」と考えたため躊躇を生じていました。ただ、私自身が大会をよく知らず、さらに同校の人たちも、学校側等から十分情報を得られなかったために大会について知りませんでした。故に参加意欲が十分でなく、結果として競技科学に十分関わらなかったと考えます。Iで述べた、のめり込むのが遅かったという点も、これに起因するでしょう。

 実例を挙げるならば、同校の1年生や2年生が今年学術オリンピックに参加した、という話は一切耳にしませんでしたし*3、私と友人A(競技科学で非常に優秀な成績を残した)が物理や化学の大会を紹介し、参加を誘っても、非常に消極的に見えました。

まとめ

 以上2つの点から、ウェブサイト「学術オリンピック非公式まとめサイト」およびTwitterアカウント「学術オリンピック非公式お知らせbot (手動)」を作るに至りました。よって、これらの主な目的は「多くの人が競技科学の情報を十分得て、興味が湧いてきたなら参加する」という流れを実現することです。無論、参加したくない人に強制することはできませんが、少し気になっている人が少しでも早く、競技科学の大会に参加して、多く濃い経験を得られればいいな、と勝手に思っている次第です。

(もしかしたら、「自分の興味のある情報なら、学校や他者に頼らずに自分で集めろ」と主張する方がいるかもしれませんが、情報は発信されなければ集めようがありませんし、特に私の高校はこうした情報の発信に消極的なので、私はこの2つのツールを通じて従来の「集められる範囲」を広げている、広げようとしているだけです。勿論、自力で必要な全ての情報を集められるなら素晴らしいと思いますし、私も見習いたい)

 余談ですが、サイトと発信用アカウントをこのタイミングで作ったのは、夏休み明けで疲労が溜まり、勉強のモチベが下がっていたためです。たまたまHTMLやCSSJavaScript等、静的ウェブサイトを作る知識はあったので、先に述べた目標(と言えば大袈裟ですが)を実現するため、空いた時間にウェブサイト等を作成しました。上手いこと勉強のモチベが回復してwin-winです。さっさと勉強しようね

現在やっていること

 ここからは毒を吐かずに明るく、現在サイトやTwitterアカウントで行っていることを説明していきます。

I - これから開催される学術オリンピックについての情報

 ウェブサイトホームの上部「参加申し込み中・受付前の大会」や「スケジュール」ページ(上画像)*4にて、これから開催される学術オリンピックについての情報をまとめています。参加申し込み開始、〆切、予選や本選の日程、合宿日程、国際大会日程など、実際に参加する人はもちろん、参加しない・知らなかった人にも有益であろう情報を原則時系列順に掲載しています。また、分野毎に背景色を変えており*5、レイアウトの関係で文字が圧縮されてはいますが頑張って見やすくしています。

 さらに、Twitterアカウントでは、申し込み開始日、〆切1週間前、〆切日と、各選抜開催日、国際大会日程等を発信しています。また、各大会の公式アカウントからの情報もリツイート(リポスト)にて発信。様々な分野の情報を一か所で見つけられるようになっています*6

II - 過去の学術オリンピックについての情報

 過去に公式から掲出されたお知らせを中心に、数か月~1年分程度を掲載しています。ややレイアウトがごちゃごちゃしているため後々修正したいところではあり、また数学と物理以外の記載が現状間に合っていません。10月中を目途に全て掲載する予定ですので、予めご了承ください。

 なお、1年を過ぎた情報に関しては、サイトの「雑多置き場」に新たに「過去の情報」ページを追加し、そこに残していこうと考えています。

III - まだマイナーな大会の周知

 まだ開催回数が少なく、参加者が増える余地のある大会は複数あります。今年度に第3回を開催する天文学オリンピックや、昨年から国際大会へ代表を派遣することが決まったエコノミクス甲子園(経済オリンピック)などの情報も掲載しています。各分野の情報は、「コンテスト一覧」ページから各分野のバナーを探し、確認してください。なお、まだ情報が不十分な場所も多いため、迅速に充足させていきます。

IV - その他コンテンツ

 この形式のウェブサイトの運営が初めてで何をしたらいいか分からないので、息抜き的なコンテンツとして「競技科学あるある集」や「競技科学用語集」を準備しています。スクロールバーの長さが物語っていますが、私だけでは碌に思いつかないため皆様のご協力をお待ちしております。

今後について

 ここからは、私が考えるこのサイトおよびアカウントの今後の運用についての話を書きます。

I - 過去問リスト等の新規コンテンツ作成

 まずは機能の拡充です。現在のサイトでは主に情報の発信のみを行っていますが、今後以下のような機能の実装を考えています。

A - 過去問リスト

 各大会の過去問や解説などのリンク集になります。基本的には公式サイトで発見可能ですが、物理チャレンジ等、一部年次の解答を見つけにくいものもありますので、コンテスト対策に活用できるよう作成する予定です。具体的にどの程度網羅するかは決めていませんので、何かアイデアありましたらお寄せください。

B - 簡易カレンダー
私個人のアカウントで公開していた2023年度のカレンダー

 2023年度、ひょんなことから思いついて作成・公開した「科学系(+α)オリンピックカレンダー」が思いの外好評で(約120いいね)、次年度以降も欲しいという声があったため、当サイトおよびアカウントで引き継ぐ予定です。デザインについては、サイトでは上に示したようなリスト形式と月別のカレンダー形式を切り替えられるようにし、アカウントでは月ごとに月別カレンダーを、情報更新ごとにリスト形式の画像を投稿しようと思います。

C - リワードリスト

 各大会で受賞するための条件、および国際大会代表になるための条件・制約をまとめたページを作る予定です。こちらは実際に参加した方からの情報が命な部分もありますので、情報提供等よろしくお願いします。

II - サイトおよびアカウントの拡散

 今のところこれが最も重要かもしれません。運用開始3日目現在、アカウントのフォロワーは40人(ありがとうございます!!)、サイトの閲覧数は1,200件ほど、ユニークな閲覧者は168人(私を除く)です。当然ながら、もっと知名度を上げていきたい所存です。ただ、私個人のアカウントでは影響力が僅少すぎるので、ご協力いただける方は是非、アカウントとサイトについて拡散をよろしくお願いします。モチベにもつながりますので……

III - 既存コンテンツ・サイトデザイン等の改善

 現在あるコンテンツの改善と充足も必要です。例えば、「最新情報」ページは今のところ白紙ですが(!?)、当然これから情報を追加していきます。また、息抜き的なコンテンツである、あるある集と用語集も、作り始めたからにはある程度大きくしたいものです。さらに、サイトのデザインに関しては既にいくつか改善点が見つかっており、できるだけ早めに修正していく予定です。サイトデザインは、私のPCおよびスマホ(iPhoneSE)でしかチェックできていませんので、他の機種ではやや見辛かったり、レイアウトが崩れている可能性があります。もしそのようなことがあれば、早めに報告をお願いします。

IV - サイトおよびアカウントの運営

 サイトやTwitterアカウントの今後の運営方法もいずれは考える必要があるでしょう。現在は資金も人手も掛けられないため、サイトはGitHub Pages、SNSアカウントはTwitterのみという運用ですが、サイトのアクセス数が増え、GitHub Pagesのデータ制限に達してしまったり、Twitterが機能しなくなったりした暁には新たな運用方法が必要です。前者なら、レンタルサーバーを借りてサイトを移植する、後者なら別のSNSなどにも進出し情報を発信し続けるなどが考えられますが、いずれにしても、資金面や人手、私の後継などの問題もあるため、現状いい答えは出せていません。今はとにかく、このサービスを浸透させるまでです。

おわりに

 以上の文章では、かなり私自身の考えで好き勝手書きました。まずは不快に思われた方に謝罪します。申し訳ありませんでした。私自身、国内大会のみしか手を出せなかった身で「何を偉そうに語るのか」と思われた方は少なくないかと思います。しかし、私はその上で、私が日本の競技科学の発展に"選手として"十分寄与、というか関わることが出来なかったので、こうしてバックエンド側で支援をしていきたいと考えていることをご承知いただきたいです。

 最後までお読みいただきありがとうございました。もしよろしければ、今後サイト「学術オリンピック非公式まとめサイト」、およびTwitterアカウント「学術オリンピック非公式お知らせbot(手動)」を使っていただけると、とても嬉しいです。


*1:地学オリンピック本選については、学校と都道府県の対応を調べるのをサボった私の怠惰で含めていません。

*2:うち、私が2人を占めます。

*3:参加してたら私の認知不足です、ごめんなさい

*4:スマホ等の画面では若干デザインが異なります

*5:各分野の色は独断と偏見に基づいています

*6:現状全ての公式アカウントを把握できていないので、順次フォローしていきます

JAO2023参加記

 Firmianaです。そろそろプログラミングの話しろよと思われるでしょうが、天文学オリンピックの参加記をちょこっと書かせてください。なお、今まで書いたJPhOとJChOの参加記より、天文学オリンピック本選の日程が短いために競技そのものの説明が多めです。

 参加から時間が経ってしまい、やや記憶が曖昧な状態で4000文字書いたので支離滅裂かもしれません。ご容赦ください。

 他の参加記はこちらから↓

firmiana.hatenablog.com
firmiana.hatenablog.com
firmiana.hatenablog.com

日本天文学オリンピック(JAO)って何ですか

概要

 日本天文学オリンピック(JAO)とは、国際天文学・天文物理学オリンピック(IOAA)へ派遣する日本代表を選考する、天文学の国内大会です。2023年に第2回が行われた、かなり新しい競技科学コンテストです。なお、第1回大会は国際天文学オリンピック(IAO)に日本代表を派遣しています(IOAAとIAOは別の大会です)。略称は「天オリ」で、第2回大会には約100人が参加しています。公式サイトへは以下のリンクから行けます。

iaojapan.org

第2回大会について

 第1回大会と第2回大会でかなり形式が異なっているようですが、今後は第2回大会と同様の形式を取ると思われるため、私が参加した第2回大会の大まかな流れを書きます。

 天オリは、オンラインのマーク式理論試験を行う予選と、対面での筆記試験を行う本選、本選で高2以下から選ばれた約10名の日本代表候補の中から日本代表を決める代表最終選抜の3段階に分かれています。各試験の出題範囲はIOAA Syllabusに準じています。英語ですが、DeepL翻訳にそのまま突っ込んでも問題なく読めるのでご安心を。

 オンラインの予選は、zoomを用いて行われましたが、初回のため今後開催方式が変わる可能性があります。

 対面式の本選は、神奈川県平塚市と京都府京都市(第3回は東京都心と京都市の予定)の2箇所で行われました。どちらに参加するかは選べます。主に記述式の問題で、知識を問うものから物理寄りの計算問題、作図を伴う問題などが含まれます。第2回のみ過去問が公式サイトに上がっているのでチェックしてみてください。

 代表最終選抜については、私は参加していないため詳細は分かりかねます。他に参加した方に聞いてみてください。

 なお、2024年に行われる第3回大会の概要も公式サイトに既に上がっており、10月頃から応募が始まります。

iaojapan.org

今回のスケジュール

2月

  • 5日 : 参加申し込み(オンライン)
  • 18日 : 予選(オンライン)
  • 21日 : 本選進出通知がメールで届く
  • 27日 : 予選成績がメールで届く

3月

  • 1日 : 印刷用受験票がメールで届く
  • 5日 : 本選(京都市)
  • 23日 : 本選成績がメールで届く

4月

  • 賞状送付

予選まで

 天オリはまだマイナーな大会なので、当然学校からの情報などありませんでしたが、確か母親に紹介してもらって参加することを決めました。当時天文学はおろか、地学基礎すら勉強したことが無かったため、本屋で高校用の地学基礎・地学の教科書を買い、天体部分をひたすら読みました。これでかなりの部分は対策出来ていたと思います。

 ただし、教科書でカバーできない部分も当然少しありました。望遠鏡、プラネタリウム、天文台に関する知識や、星座に関する知識も、安全に予選を通過するにはある程度必要です。私の場合、ある楽曲の替え歌でラテン語名順に88星座を歌う動画をたまたま見ていたため、星座関係の知識問題は取れました。

予選当日

 対策物資が教科書しかなかったため、続けて読み込んで試合開始。予選は制限時間100分、50問の選択問題で構成されているので、2分以内に1問解けば間に合います。実際は計算を必要としない知識問題も多く、これよりは余裕がありました。また、知識が無くても推測で正解できる問題もあり、初学者でも楽しめました。結果は30問正解で、予選22位タイで本選進出です。

 なお、第2回は24問以上正解(数え間違い可能性あり)で本選出場権を得られました。第3回以降はボーダーが上がることが予想されますが、まだ参加者数が少なく、上位50%程度で本選に行けるので興味のある人は是非。

本選まで

 私はまさか自分が予選通過とは思わず、予選結果発表から本選まで10日くらいしかなかったため、初学の状態で1週間漬け対策を始めました。今思えば付け焼刃も甚だしいですが……

 母親が天文に若干興味を持っていたため、天文検定1級の参考書だからという理由で『極・宇宙を解く』という書籍を買ってくれました。――が、ミスです。当時物理が半分くらい未履修の状態で、地学なぞ初学のため、分かりやすく書いてくれているものの、読み始めて10分ぐらいで眠くなります。半分くらい何言ってるのか分かりませんでしたが、頑張って読み進め、本選前日までに完走。演習問題もやったため40時間ぐらいかかりました。ある程度の計算問題なら解けるようになりましたが、生憎知識はどうしようもありませんでした。

本選当日

 京都市会場で参加しました。早朝の高速バスで出発し、10時頃に京都駅に着弾。親が神社ガチ勢のため、タクシーが無いときついぐらいの結構ギリギリな時間まで参拝していました。会場入りすると既にほぼ全員来ており、また辞書みたいなルーズリーフの束を見ている人が数人いてビビりました。私と同じ教科書を見ていた、非地学選択者と思しき人に親近感を覚えつつ、試験開始。

 第1問はどちらかと言うと小問集合(小問ではないが)のようなテイストで、初っ端から「太陽定数」の定義を聞かれました。知りません――が、確か地球が太陽から受けるエネルギー量だった気が、と思い出し、単位時間あたりに地球の公転軌道上の・・・・・・単位面積が受ける太陽からのエネルギー量っぽいことを書きました。無論、不正解です。定義はちゃんとしよう(正しくは「地球の大気の上端で、太陽からの放射線に対して垂直な面における単位面積・単位時間当たりに受けるエネルギー」だそうです)。その後の計算問題は何とか処理しますが、隕石の特徴……? 知るかそんなもん。

 第2問は太陽系外惑星に関しての問題で、数学寄りだったので誘導に乗ればふんわりと解けました(なお完答ではない)。「定性的」の意味が分からなかったから仕方ないね。

 第3問は銀河や恒星集団の年齢を計算する問題でした。この問題は知識ゼロ人間にも優しく、私がちゃんと点数を取れた唯一の問題だと思います。普段尋常じゃないくらい計算ミスを犯しますが、ここでは関数電卓も使えるので楽。

 第4問は製図を伴う問題でした。当時50cmの定規なんて持っていなかったので、中学の美術で使った定規を流用していました。時間が無かったのと、製図してもその後の問題を解ける気がしなかったため、途中までやってギブアップ。後から気付きましたが、横軸の赤緯、逆にしました。私は天球を外から見たらしいです。対戦ありがとうございました。

 体感では全くできなかったという印象が強く、終了後運営の皆様が「第1問の太陽定数の定義は答えられなかったらアウト」的な事を言っていたので震えてました。確かにその通りです、この度は大変申し訳ありませんでした。

 なお、終了後に天文台見学ツアーがあったらしいですが、スケジュールがかっつかつのため見送りました。周りの人とも一切話せなかったコミュ弱だから、仕方ないね。知識皆無だから話しかけられても対応できないし……

本選後

 出来が悪かったため、入賞は期待していませんでした。が、どういう訳か銀賞をいただきました。代表候補には当然なれなかったものの(こんな初学者がなったら困りますが)、競技科学では初めて金属な賞を獲得できてよかったです。ちなみに各賞の条件は下表の通りです。

賞名 条件
最優秀賞 1位
優秀賞 2位
ジュニア最優秀賞 中学生以下1位
ジュニア奨励賞
金賞 1~10位
銀賞 11~20位
銅賞 21~30位
敢闘賞 本選参加

※中学生以下でジュニア最優秀賞、金賞、銀賞、銅賞には及ばなかったものの優秀な成績を残した参加者(3名程度?)

おわりに

 今回は天文学オリンピックの存在を紹介するため、内容についての説明をやや多めに書きました。天オリはこれから参加者が増えて来る段階で、まだ入賞は狙いやすいと思います。また予選は誰でも(大人でも?)参加することができます。天文学に興味がある人は是非参加してみましょう。

 初学の状態での参加でしたが、知識が無いなりに戦え、問題を解けたのでいい経験になりました。ただ、参加者の交流が少なかったのは残念です。運営の皆様には、費用の面など厳しいかと思いますが、今後参加者内での交流の時間を設けて欲しいなーと勝手に考えています(既にあったらごめんなさい)。

 この参加記の内容は以上です。天オリにもみんな参加しよう!!!!!!

JChO2023参加記

 こんにちは、Firmianaです。物理チャレンジ参加記も書いたので、今度は化学グランプリの参加記も書くことにしました。気が向けば天文学オリンピックも書くかも……(なお需要)

 他の参加記はこちらから↓

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化学グランプリ(JChO)って何ですか

 化学グランプリは、名称は異なりますが国際化学オリンピックの代表選抜を兼ねているため、実質日本化学オリンピックです。毎年4月から応募が始まり、7月に全国の会場でのマーク式理論試験を行う一次選抜(予選)、8月後半にオフラインで実験試験を行う二次選抜(本選)、さらに二次選抜で優秀な成績を収めた高2以下から日本代表を選ぶ選考が9月以降行われます。参加者は約3000人で、2023年で第26回となります。通称は「神楽(化グラ)」が一般的です。

今回のスケジュール

 あくまでも私のものですが、参考までに書いておきます。JPhOと比べてスッカスカなので意味ないかもしれません……

4月

  • 15日ぐらい : 参加申し込み

6月

  • 15日ぐらい : 第1チャレンジの参加費振込用紙が来るので振り込む
  • ここら辺から過去問スタート

7月

  • 17日 : 一次選考(全国の会場)
  • 27日 : 第2チャレンジ進出通知が届く
  • 30日 : フォーム回答、必要書類提出

8月

  • 29日~30日 : 二次選考(東京都八王子市)

一次選考まで

 4月3日から申し込みが始まりましたが、物理同様学校で取りまとめる可能性を考え、4月半ばまで待ちました。しかし何故かこっちも音沙汰無かったので、友人2名と勝手に申し込みました。学校にはポスターすら無かったんですが。日本代表出てるんだぞもっと頑張れ

 化学グランプリの一次試験は理論のみなので、申し込んでから忙しいことはありませんが、過去問は計画的にやりましょう。私は7月16日にあった高校生クイズなどの関係で2年分しかできませんでした。まあ通ったからヨシ なお、生物学オリンピック予選と連続で出て両方通っている人がいて……

一次選考当日

 この手の競技科学分野には弱い弊県ですが、いざ会場に行くと70人ぐらいいてビビりました。某代表の効果でしょうか。また、例年電卓が配られるのですが、今年のはしょぼくて残念な気持ちに。後から会場にやってきた友人2人に熱い視線を送りますが気付かれません。

 そこそこ緊張しながら試験開始、何も考えずに1番を進めます。……何も考えていなかったせいか、有効数字を適当にしたせいで2問目から誤差で間違え、原子間距離なのに原子半径を答えるなど、いきなり5ミスを犯します。最後の問題は受験化学みたいな見た目でしたが解けず、35分経過で2番へ移ります。

 問題を開いた瞬間数学かな?と思いましたが、誘導に乗ればなんてことなく(1箇所間違えましたが)、電卓に根号計算機能が無いため問題になった  \sqrt{7} \approx 2.646 もゴリゴリ開平で求めて2番完答。ここまで約55分経過、かなりいいペースです。

 3番は無機で、確かケイ酸の問題でした。正誤問題の罠には掛かりませんでしたが普通に間違え、鉱物の化学式に妙に時間を取られました。何とか化学式は全問正解でしたが、その後の劈開を間違えました。今でもあまり分かっていません。3番は少し時間を食い、約100分経過で最終4番に入りました。

 4番は有機で、フロンティア軌道論とかいう分野(だったらしい)です。初見でしたが、2択を何度か外しつつ・・・・完走。最終問題も2択で外しました。悲しい。ここも中々考えたので、計150分で全問解き終わりました。

 見直しでいくつか正解を増やしましたが、終了後の自己採点では正解率83%と怪しげな数値に……。TLに260点(87%相当)がいて吐きそうになりましたが、某代表が「80%は安全」と言っていたのを信じ、結果を待ちます。

二次選考まで

 物理の方でも少し言及しましたが、化学グランプリの通知はレターパックで送られるので、結果発表は全国一斉。つまり一発勝負です。かなり緊張していましたが、Twitterで宣言を確認する前に届いて一安心。最初TLで参戦宣言していた人が全員JPhOとの二刀流だったのは少しびっくりしました。

(注 : 二次選考の対象になった人は、一次選考の得点等詳細は二次選考後に分かります。8月中旬に通知が届くのは二次選考に通らなかった人だけです。)

 ただ物理同様またもや一人で参戦です。うーん。

二次選考

1日目

主なイベント

  • 実験試験
  • 交流会

 8/28からの高校の実力テストを公欠できて気分上々のまま、飛行機で東京に行きます。なお自宅を5時半発になります。修学旅行は人数の関係で5時前とかだったから余裕。東京の鉄道にはそろそろ慣れて来たのか、スムーズに八王子到着成功です。Twitterで主張しますが塩化失敗。バスに缶詰にされて工学院大学に向かいます。

 開会式の後、初めての白衣を着込み、超広い実験室で実験試験スタートです。実は高校入学以来、化学実験は初めてなのでかなり緊張していましたが、TLCや滴定など難しそうな(※個人の意見です)ものではなく、液体まぜまぜがメインだったので救われました。これは易化だと思いつつ、4時間の実験試験のうち2時間を残して実験完了。残りの2時間は頑張って考察部分を埋めていきますが、合っているのか分かりません。時間の許す限り情報量を増やし、長文で殴りに行きました。正しい戦略かどうかは全く不明です。なお、問1の化学反応式は間違えました。

 実験終了後は片付けをしますが、交流会をしたい大人たちから「片付け中断、交流会行け」との命令が下ったので交流会にゴー。食事兼自己紹介タイムでしたが、コミュ弱を発揮して変な挨拶しかできませんでした。他の人々の自己紹介が面白すぎて辛かったです。同じテーブルに座っていた数人とは何とか仲良くなりました。

 交流会終了後ホテルに輸送されますが、疲れでホテルでの交流タイムはパス。すぐに寝ました。後から交流の様子を写真で見ましたが滅茶苦茶楽しそうだったので、絶対行きましょう。

2日目

主なイベント

  • 交流会(実験)
  • 表彰式

 2日目はお楽しみ実験からスタートです。一次選考の大問4で扱われたディールス・アルダー反応を実際にやってみよう、というものでした。試験のような無機の実験も新鮮でしたが、有機の実験はもっと新鮮(匂いも含めて)で、わざわざシクロペンタジエンの匂いを嗅ぎに来て「これこれ、ジエンの匂い」と嬉しそうに言う化学会の教授はなおさら新鮮でした。一緒に実験をしていた参加者は匂いに悶えていたんですがね。冷却器や吸引濾過も初めて体験し、出来た針状の白色結晶は大量に写真を撮りました。

 お楽しみの後は、どう見てもただの唐揚げにしか見えない油淋鶏の、梅干しが原材料からハブられている弁当を食べた後、いよいよ表彰式です。化学グランプリでは、一次選考突破の時点で銅賞以上が確定するため、銀賞以上が欲しいと思っていました。銅賞の参加者の名前が表示されますが……私の名前はありません。勝利を確信しました。

 次に銀賞の参加者が発表されますが……あれ、私の名前がありません。頭の上に?が浮かんだ気がし、そしてすぐ金賞の参加者の中に名前を見つけました……想定外で上手く反応できませんでしたが、金賞を獲得しました。とても嬉しい。

 その後は大賞と、特別賞の発表に続きます。何と総合1位の人は一次選考も二次選考も1位だそうです。さらに実験1位は同点で2人いるということを聞いて「へぇ~すごいなぁ」と思いつつ、もう余韻に浸っていると、いきなり名前を呼ばれました。私は実験同点1位らしいです。

 …………んん????????

 何も頭に入ってこないまま賞状とiPadを貰い、喜びの言葉なのに「よく分かりません」を連発しました。日本化学会様、良いコメントできなくて申し訳ない。そのまま、余韻で上の空になりながら帰宅しました。正直、これを書いている今でも実感はありません。

 参考までに、私の得点は理論(一次)が237点/300点、実験(二次)が141点/200点でした。一次が雑魚なため大賞を逃した感じらしい。

 ちなみに、化学グランプリの表彰は以下の通りです。これに加えて日本化学会の支部からの表彰もあるらしいですが、ここでは省略します。

賞名 条件
日本化学会特別賞 総合1位
夢・化学21委員会特別賞 実験1位※
工学院大学学長賞 中学生総合1位?
大賞 総合1~5位
金賞 総合6~20位
銀賞 総合21~40位
銅賞 総合41位~

※総合1位が実験1位の場合は実験2位

おわりに

 まずは4000文字オーバーの駄文を読んでいただきありがとうございます! 私の文章力の話は前回したのでもういいですね……

 今回は化学グランプリ2023の参加記として、私の体験を色々書きました。物理チャレンジと被るところも多々ありますが、この2日間で実験の面白さを実感し、加えて多くの化学・科学好きの仲間を得ることが出来ました。おまけに金賞+特別賞ももらえて超お得な2日間だったと思います。何度も言いますが、競技科学では仲間との交流が醍醐味なので、このような機会を逃すのはもったいないです。

 みんな、化学グランプリも参加しよう!!!!!!!!!

JPhO2023参加記

 こんにちは、Firmianaです。はてなブログの初記事ですが、今年(2023年)の物理チャレンジの参加記(駄文)を書き残しておきたいと思います。プログラミング関係を中心に書くとは一体

【2023.09.08追記】過去問に関する記述について誤りがありました。2018年以降の解答は入手できないとしていましたが、2020年までの3年分は販売されているため購入可能、2021年以降は入手不可能、が正確です。

 他の参加記はこちらから↓

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物理チャレンジ(JPhO)って何ですか

 物理チャレンジは、名称は異なりますが国際物理オリンピックの代表選抜を兼ねているため、実質日本物理オリンピックです。毎年4月から応募が始まり、5月から7月にかけて実験レポートとオンラインの理論試験を含む第1チャレンジ(予選)、8月後半にオフラインで実験と理論の試験を行う第2チャレンジ(本選)、さらに第2チャレンジで選抜された高2以下から日本代表を選ぶ選考が9月以降行われます。参加者は約1000人で、2023年で第19回となります。通称は「物チャ」「物チャレ」「JPhO(じぇーふぉ)」などです。

今回のスケジュール

 あくまでも私のものですが、参考までに書いておきます。

4月

  • 15日ぐらい : 参加申し込み(5月30日まで)

5月

  • 22日 : 第1チャレンジ 実験開始
  • 23日 : 第1チャレンジ 実験終了
  • 30日 : 第1チャレンジ 実験レポート提出(5月31日まで)

6月

  • 15日ぐらい : 第1チャレンジの参加費振込用紙が来るので振り込む

7月

  • 9日 : 第1チャレンジ 理論試験(オンライン)
  • 19日 : 第2チャレンジ進出通知が届く
  • 23日 : 必要書類提出、第2チャレンジの参加費振込
  • 25日 : 第2チャレンジ 理論試験の過去問開始、並行して入試過去問の物理

8月

  • 14日 : 第1チャレンジ結果通知が届く
  • 19日~22日 : 第2チャレンジ(岡山県岡山市)

9月

  • ?日 : 第2チャレンジ結果通知が届く予定

第1チャレンジ理論試験まで

 4月1日から申し込みが始まりましたが、昨年のように学校で取りまとめる可能性を考え、4月15日くらいまで待っていました。しかし何故か何も連絡が無かったので、友人1名と勝手に申し込みました。(この後、職員室前の掲示板の微妙な位置にポスターを確認。)学校側のやる気が無いのは頂けない。交通費の支給とか無いし。

 個人的には、去年の実験で痛い目に遭ったのでこの辺りでデータ取りをしようと思いましたが、普通に忘れていて5月下旬になりました。JPhO2022の地獄の二の舞です。

 ただし今年の実験課題去年のよりは圧倒的に短時間で試行できたので、5月22日と23日で完遂。(去年の水温測る実験は1試行に2時間半かけていました。無計画め)

 レポートも、去年は締切5分前に提出しましたが、今年は余裕をもって5月30日に提出。グラフ作成はNGraphを使いました。正直Excelは学術グラフには使いづらいですが、ソルバー機能とかいう便利なものがあるのでデータ整理に使用します。結果、学校に振り子の重りが1個しかない状態でしたがAA評価をいただきました。去年はABだったので成長です。

 この時点で磁気が未履修だったので、レポート提出から理論試験までは専ら電磁気全範囲の履修を進めていました。原子は諦めました。

第1チャレンジ 理論試験 当日

 当日になって緊張し始めましたがもう遅いです。教科書や参考書など、印刷された媒体なら持ち込み可能なのをいいことに、机の上に積み上げて試験開始。

 いざ解き始めると熱力学が一切解けないことに気付きます。小問集合すらよく分かりません。原子はあったかどうかも覚えていません。これでは去年、ボルツマン定数が何か分からず、二次の理論第3,4問を投了した自分と何ら変わりません。参考書に頼り、何とか熱を埋めて80分経過、見直しをして試験終了です。

 終了後、旧Twitter(現X)で発見、誘って頂いた物理のコミュニティで解答速報をチェックしたところ、27問中少なくとも23問正解らしいことが分かりました。レポートには多少自信があったので、ここで一気に余裕と安心を感じ始めます。なお、実際は100点中77点(熱力学0点)でした。思ったよりわろし。

第2チャレンジまで

 ――が、第1チャレンジ通過通知が6月18日に人々に届き始めても到着せず、一気に心配になってきます。「都市部が早いだけ」とおまじないを掛けつつ翌日、祖母から物理のが来たと連絡を受け、勝利を確信しました。

 物理チャレンジの第1チャレンジ通過通知は普通郵便で送られるため、都市部と地方の田舎、離島では到着するタイミングが異なります。そのため、万が一他の人に届き始めていても、最大2日程度遅れて届く可能性はあります。

(参考 : 化学グランプリはレターパックなので、離島を除いて同じ日に届きます。)

 なお、同じ高校から出ていた友人は通過できなかったらしく、恐らく県唯一の二次参加者になってしまいました。コミュ力不足には厳しい展開です。(去年は地方で唯一の参加者だったから多少はね?)

 参加するための書類を送ってからは、取り敢えず理論問題の過去問をこなすことにしましたが、物理チャレンジの過去問をするには以下の注意点があります。

  1. 解答が存在しているのは2005年から2017年まで。
    2018年以降は参加者しか持っていない。【2023.09.08訂正】2018年から2020年の解答は販売されている。2021年以降は参加者しか持っていない。
  2. 2016年から問題形式が変わり、大問数が3から4に増えている。
    できればこれ以降の過去問を優先した方が良いが、上記との兼ね合いで微妙。

 2018年2021年以降の問題の解答は、知り合いの参加者から貰うしかない気がしています。私にはそんな知り合いはいなかった。

 また実験課題については、私は所属校が何かしてくれるわけでもないので特にノータッチで行ってしまいましたが、かなり手際が要求されるので練習すべきだと思います。高校や大学で練習させてくれるようなら是非お言葉に甘えましょう。

 あとは、地方の学校から一人で参加すると寂しいので、TwitterなどのSNS他で塩化(エンカウント)呼びかけをするといいかもしれません。

第2チャレンジ

1日目

主なイベント

  • 開会式
  • 実験試験

 岡山駅までは鉄道で家族と行きました。彼らは便乗日帰り観光をするらしい。岡山駅で昼食後別れ、私は会場に向かいます。あ、ここでの一人称は私ですが、性別は男です。

 会場入り後、自分から話しかけに行く勇気が無いので「誰か来てー」とTwitterで呟くと、ありがたいことに二人来てくれて人生初塩化を決めました(写真撮るの忘れた)。コミュ弱には嬉しい展開。

 さて、開会式を済ませた後、Discordで知り合った人とも無事塩化し、実験試験開始です。

 実験試験では、5時間で2つの実験課題をこなします。今年は回転体の慣性モーメントとダイオードのなんとかかんとかでしたが、例年よりやや簡単だったようです。私も特に躓くこと無く、2時間程度残して考察部分以外全て完了できました。噂によると満点(200点)が3人いたらしいです。

 今回分かった実験試験で気を付けることは「何かおかしいと思ったらすぐ試験監督者を呼ぶ」ことです。実験で得たデータが変なとき、実験装置が配布された段階で壊れていることがたまーにありますし、自分の操作方法が間違っていることもあります。特に前者の場合、粘ってもほぼ時間の無駄なので、すぐに試験監督者を呼んで対応してもらいましょう。実際には後者の場合でも、事故っている場所の発見が早くなる上、前者の見逃しが痛いので躊躇は不要だと思います。

 1日目夜はあまり疲れていませんでしたが、2日目の対策(熱力学と電磁気)のため交流はしませんでした。

2日目

主なイベント

  • 理論試験
  • 問題解説会
  • 後楽園・岡山城散策

 無事に4時起床を決め、適当に朝食を摂って理論試験開始です。

 1日目の実験が易化だったので、内心理論は難化だろうなと思っていましたが、やはり難化でした。理論試験では5時間で大問4つを解きますが、大問3,4はしっかり完答(満点というわけではない)したものの、電磁気が雑魚すぎて大問2は半分、大問1は解き忘れで6割くらいでした。やらかした、メダル無理だなと思いました、はい。

 そのため問題解説会は、寝ている隣人が押していく机を引っ張りながら上の空で聞きました。勿論、内容は勉強になるので聞いた方が良いと思いますよ。

 半分薄暗い状態の後楽園と岡山城の散策では、志望校と志望学科が完全に一致な人を見つけ、4日目までずっと一緒に喋ってました。というか物理チャレンジ、城行きがち。

 蛇足ですが、ホテルで名簿をチェックしていたところ、同じ県からの参加者を発見しました。面識はありませんでしたが、県唯一ではなかったです。

3日目

主なイベント

  • SPring-8 見学
  • Physics Live

 3日目以降は試験が無いので、専ら交流タイムとなります。今年もSPring-8の見学でしたが、来年もそうらしいので詳細は伏せます。一つだけ言うなら、まねき食品は姫路周辺だけでなく、兵庫県西部までも牛耳っているようです……内輪ネタすみません。

 Physics Liveでは、主に過去の物理チャレンジ本選の実験課題、および今年の国際大会(IPhO、APhO)の実験課題の解説などの展示があります。時間は長めなので、あらかた見終わったら交流タイムだと考えていいでしょう。この後ホテルに戻ってもロビー追放イベントが発生する可能性があるので……

4日目

主なイベント

  • 表彰式・閉会式

 4日目は午前に表彰式があり、昼前に解散となります。メダル獲得は絶望的だと思いながらも一縷の望みをかけ、緊張しながら表彰式開始。

 去年優良賞(銅メダルの次で、約上位50%の人)だったので、優良賞で名前を呼ばれたらどうしようとビビりながら過ごしますが、呼ばれません。自分の中でちょっと期待値が上がりました。そして無事、次の銅賞(総合約19位~30位)の時に名前が呼ばれ、総合27位でなんとかメダル獲得に成功しました。


【2023.09.12 追記】
 参考までに第二チャレンジの成績を掲載しておきます。今年は筆記が標準~やや難、実験が易~やや易という見解が多いと思います。

理論

大問 得点/満点 平均点
第1問 51/75 46.7
第2問 19/75 22.4
第3問 57/75 44.2
第4問 70/75 38.2
合計 197/300 151.6

実験

大問 得点 平均点
第1問 89/100 80.2
第2問 88/100 73.4
発展 8/20 3.8
合計 185/200 157.3

※実験について、第1,2問と発展の合計得点が200点を超える場合は200点と扱われます。


 ちなみに、物理チャレンジの表彰は以下の通りです。スポンサーの冠賞は多少変わるかもしれません。

※第2チャレンジ表彰のうち、実験1位などの特別賞は後程追記します。

  • 第1チャレンジ表彰
賞名 条件
東京エレクトロン賞 第1チャレンジ総合1位
東京理科大学賞 第1チャレンジ総合女子1位
実験優秀賞 第1チャレンジの実験レポートでSS評価
実験優良賞 第1チャレンジの実験レポートでSA評価
  • 第2チャレンジ表彰
賞名 条件
物理チャレンジ大賞 第2チャレンジ総合1位
金賞 第2チャレンジ総合1~6位
銀賞 第2チャレンジ総合7~18位
銅賞 第2チャレンジ総合19~30位
優良賞 第2チャレンジ総合上位50%
奨励賞 第2チャレンジに参加

 なお解散後、同班の男子8人で岡山名物・デミカツ丼を食べに行きました。とても美味しかったので食べてない人は是非。

おわりに

 まずは5000文字オーバーの駄文を読んでいただきありがとうございます! もう少し簡潔にまとめられれば良かったのですが、生憎文章力をどこかに捨てて来たので不可能です。

 さて、今回は物理チャレンジ2023の参加記として、私の体験を色々書きました。過去問の話など、重要なポイントは参考にして頂ければ幸いです。代表選考だとか、国際大会には行けていない者の戯言なので、他の部分は最悪読み飛ばしてもいいです。ただ、この記事で何より伝えたいのは「物理チャレンジは楽しい」ということです、間違いありません。第1チャレンジの実験が怠いとかはあると思いますが、競技科学全般において、本選(第2チャレンジ)に行く楽しさを知らない・知ろうともしない(予選にすら出ない)のは損です。

 みんな、物理チャレンジ参加してね!!!!!!!