Firmianaの落書き

プログラミング関係のことを中心に書きます(多分)

JAO2023参加記

 Firmianaです。そろそろプログラミングの話しろよと思われるでしょうが、天文学オリンピックの参加記をちょこっと書かせてください。なお、今まで書いたJPhOとJChOの参加記より、天文学オリンピック本選の日程が短いために競技そのものの説明が多めです。

 参加から時間が経ってしまい、やや記憶が曖昧な状態で4000文字書いたので支離滅裂かもしれません。ご容赦ください。

 他の参加記はこちらから↓

firmiana.hatenablog.com
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日本天文学オリンピック(JAO)って何ですか

概要

 日本天文学オリンピック(JAO)とは、国際天文学・天文物理学オリンピック(IOAA)へ派遣する日本代表を選考する、天文学の国内大会です。2023年に第2回が行われた、かなり新しい競技科学コンテストです。なお、第1回大会は国際天文学オリンピック(IAO)に日本代表を派遣しています(IOAAとIAOは別の大会です)。略称は「天オリ」で、第2回大会には約100人が参加しています。公式サイトへは以下のリンクから行けます。

iaojapan.org

第2回大会について

 第1回大会と第2回大会でかなり形式が異なっているようですが、今後は第2回大会と同様の形式を取ると思われるため、私が参加した第2回大会の大まかな流れを書きます。

 天オリは、オンラインのマーク式理論試験を行う予選と、対面での筆記試験を行う本選、本選で高2以下から選ばれた約10名の日本代表候補の中から日本代表を決める代表最終選抜の3段階に分かれています。各試験の出題範囲はIOAA Syllabusに準じています。英語ですが、DeepL翻訳にそのまま突っ込んでも問題なく読めるのでご安心を。

 オンラインの予選は、zoomを用いて行われましたが、初回のため今後開催方式が変わる可能性があります。

 対面式の本選は、神奈川県平塚市と京都府京都市(第3回は東京都心と京都市の予定)の2箇所で行われました。どちらに参加するかは選べます。主に記述式の問題で、知識を問うものから物理寄りの計算問題、作図を伴う問題などが含まれます。第2回のみ過去問が公式サイトに上がっているのでチェックしてみてください。

 代表最終選抜については、私は参加していないため詳細は分かりかねます。他に参加した方に聞いてみてください。

 なお、2024年に行われる第3回大会の概要も公式サイトに既に上がっており、10月頃から応募が始まります。

iaojapan.org

今回のスケジュール

2月

  • 5日 : 参加申し込み(オンライン)
  • 18日 : 予選(オンライン)
  • 21日 : 本選進出通知がメールで届く
  • 27日 : 予選成績がメールで届く

3月

  • 1日 : 印刷用受験票がメールで届く
  • 5日 : 本選(京都市)
  • 23日 : 本選成績がメールで届く

4月

  • 賞状送付

予選まで

 天オリはまだマイナーな大会なので、当然学校からの情報などありませんでしたが、確か母親に紹介してもらって参加することを決めました。当時天文学はおろか、地学基礎すら勉強したことが無かったため、本屋で高校用の地学基礎・地学の教科書を買い、天体部分をひたすら読みました。これでかなりの部分は対策出来ていたと思います。

 ただし、教科書でカバーできない部分も当然少しありました。望遠鏡、プラネタリウム、天文台に関する知識や、星座に関する知識も、安全に予選を通過するにはある程度必要です。私の場合、ある楽曲の替え歌でラテン語名順に88星座を歌う動画をたまたま見ていたため、星座関係の知識問題は取れました。

予選当日

 対策物資が教科書しかなかったため、続けて読み込んで試合開始。予選は制限時間100分、50問の選択問題で構成されているので、2分以内に1問解けば間に合います。実際は計算を必要としない知識問題も多く、これよりは余裕がありました。また、知識が無くても推測で正解できる問題もあり、初学者でも楽しめました。結果は30問正解で、予選22位タイで本選進出です。

 なお、第2回は24問以上正解(数え間違い可能性あり)で本選出場権を得られました。第3回以降はボーダーが上がることが予想されますが、まだ参加者数が少なく、上位50%程度で本選に行けるので興味のある人は是非。

本選まで

 私はまさか自分が予選通過とは思わず、予選結果発表から本選まで10日くらいしかなかったため、初学の状態で1週間漬け対策を始めました。今思えば付け焼刃も甚だしいですが……

 母親が天文に若干興味を持っていたため、天文検定1級の参考書だからという理由で『極・宇宙を解く』という書籍を買ってくれました。――が、ミスです。当時物理が半分くらい未履修の状態で、地学なぞ初学のため、分かりやすく書いてくれているものの、読み始めて10分ぐらいで眠くなります。半分くらい何言ってるのか分かりませんでしたが、頑張って読み進め、本選前日までに完走。演習問題もやったため40時間ぐらいかかりました。ある程度の計算問題なら解けるようになりましたが、生憎知識はどうしようもありませんでした。

本選当日

 京都市会場で参加しました。早朝の高速バスで出発し、10時頃に京都駅に着弾。親が神社ガチ勢のため、タクシーが無いときついぐらいの結構ギリギリな時間まで参拝していました。会場入りすると既にほぼ全員来ており、また辞書みたいなルーズリーフの束を見ている人が数人いてビビりました。私と同じ教科書を見ていた、非地学選択者と思しき人に親近感を覚えつつ、試験開始。

 第1問はどちらかと言うと小問集合(小問ではないが)のようなテイストで、初っ端から「太陽定数」の定義を聞かれました。知りません――が、確か地球が太陽から受けるエネルギー量だった気が、と思い出し、単位時間あたりに地球の公転軌道上の・・・・・・単位面積が受ける太陽からのエネルギー量っぽいことを書きました。無論、不正解です。定義はちゃんとしよう(正しくは「地球の大気の上端で、太陽からの放射線に対して垂直な面における単位面積・単位時間当たりに受けるエネルギー」だそうです)。その後の計算問題は何とか処理しますが、隕石の特徴……? 知るかそんなもん。

 第2問は太陽系外惑星に関しての問題で、数学寄りだったので誘導に乗ればふんわりと解けました(なお完答ではない)。「定性的」の意味が分からなかったから仕方ないね。

 第3問は銀河や恒星集団の年齢を計算する問題でした。この問題は知識ゼロ人間にも優しく、私がちゃんと点数を取れた唯一の問題だと思います。普段尋常じゃないくらい計算ミスを犯しますが、ここでは関数電卓も使えるので楽。

 第4問は製図を伴う問題でした。当時50cmの定規なんて持っていなかったので、中学の美術で使った定規を流用していました。時間が無かったのと、製図してもその後の問題を解ける気がしなかったため、途中までやってギブアップ。後から気付きましたが、横軸の赤緯、逆にしました。私は天球を外から見たらしいです。対戦ありがとうございました。

 体感では全くできなかったという印象が強く、終了後運営の皆様が「第1問の太陽定数の定義は答えられなかったらアウト」的な事を言っていたので震えてました。確かにその通りです、この度は大変申し訳ありませんでした。

 なお、終了後に天文台見学ツアーがあったらしいですが、スケジュールがかっつかつのため見送りました。周りの人とも一切話せなかったコミュ弱だから、仕方ないね。知識皆無だから話しかけられても対応できないし……

本選後

 出来が悪かったため、入賞は期待していませんでした。が、どういう訳か銀賞をいただきました。代表候補には当然なれなかったものの(こんな初学者がなったら困りますが)、競技科学では初めて金属な賞を獲得できてよかったです。ちなみに各賞の条件は下表の通りです。

賞名 条件
最優秀賞 1位
優秀賞 2位
ジュニア最優秀賞 中学生以下1位
ジュニア奨励賞
金賞 1~10位
銀賞 11~20位
銅賞 21~30位
敢闘賞 本選参加

※中学生以下でジュニア最優秀賞、金賞、銀賞、銅賞には及ばなかったものの優秀な成績を残した参加者(3名程度?)

おわりに

 今回は天文学オリンピックの存在を紹介するため、内容についての説明をやや多めに書きました。天オリはこれから参加者が増えて来る段階で、まだ入賞は狙いやすいと思います。また予選は誰でも(大人でも?)参加することができます。天文学に興味がある人は是非参加してみましょう。

 初学の状態での参加でしたが、知識が無いなりに戦え、問題を解けたのでいい経験になりました。ただ、参加者の交流が少なかったのは残念です。運営の皆様には、費用の面など厳しいかと思いますが、今後参加者内での交流の時間を設けて欲しいなーと勝手に考えています(既にあったらごめんなさい)。

 この参加記の内容は以上です。天オリにもみんな参加しよう!!!!!!