Firmianaの落書き

プログラミング関係のことを中心に書きます(多分)

JPhO2023参加記

 こんにちは、Firmianaです。はてなブログの初記事ですが、今年(2023年)の物理チャレンジの参加記(駄文)を書き残しておきたいと思います。プログラミング関係を中心に書くとは一体

【2023.09.08追記】過去問に関する記述について誤りがありました。2018年以降の解答は入手できないとしていましたが、2020年までの3年分は販売されているため購入可能、2021年以降は入手不可能、が正確です。

 他の参加記はこちらから↓

firmiana.hatenablog.com
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物理チャレンジ(JPhO)って何ですか

 物理チャレンジは、名称は異なりますが国際物理オリンピックの代表選抜を兼ねているため、実質日本物理オリンピックです。毎年4月から応募が始まり、5月から7月にかけて実験レポートとオンラインの理論試験を含む第1チャレンジ(予選)、8月後半にオフラインで実験と理論の試験を行う第2チャレンジ(本選)、さらに第2チャレンジで選抜された高2以下から日本代表を選ぶ選考が9月以降行われます。参加者は約1000人で、2023年で第19回となります。通称は「物チャ」「物チャレ」「JPhO(じぇーふぉ)」などです。

今回のスケジュール

 あくまでも私のものですが、参考までに書いておきます。

4月

  • 15日ぐらい : 参加申し込み(5月30日まで)

5月

  • 22日 : 第1チャレンジ 実験開始
  • 23日 : 第1チャレンジ 実験終了
  • 30日 : 第1チャレンジ 実験レポート提出(5月31日まで)

6月

  • 15日ぐらい : 第1チャレンジの参加費振込用紙が来るので振り込む

7月

  • 9日 : 第1チャレンジ 理論試験(オンライン)
  • 19日 : 第2チャレンジ進出通知が届く
  • 23日 : 必要書類提出、第2チャレンジの参加費振込
  • 25日 : 第2チャレンジ 理論試験の過去問開始、並行して入試過去問の物理

8月

  • 14日 : 第1チャレンジ結果通知が届く
  • 19日~22日 : 第2チャレンジ(岡山県岡山市)

9月

  • ?日 : 第2チャレンジ結果通知が届く予定

第1チャレンジ理論試験まで

 4月1日から申し込みが始まりましたが、昨年のように学校で取りまとめる可能性を考え、4月15日くらいまで待っていました。しかし何故か何も連絡が無かったので、友人1名と勝手に申し込みました。(この後、職員室前の掲示板の微妙な位置にポスターを確認。)学校側のやる気が無いのは頂けない。交通費の支給とか無いし。

 個人的には、去年の実験で痛い目に遭ったのでこの辺りでデータ取りをしようと思いましたが、普通に忘れていて5月下旬になりました。JPhO2022の地獄の二の舞です。

 ただし今年の実験課題去年のよりは圧倒的に短時間で試行できたので、5月22日と23日で完遂。(去年の水温測る実験は1試行に2時間半かけていました。無計画め)

 レポートも、去年は締切5分前に提出しましたが、今年は余裕をもって5月30日に提出。グラフ作成はNGraphを使いました。正直Excelは学術グラフには使いづらいですが、ソルバー機能とかいう便利なものがあるのでデータ整理に使用します。結果、学校に振り子の重りが1個しかない状態でしたがAA評価をいただきました。去年はABだったので成長です。

 この時点で磁気が未履修だったので、レポート提出から理論試験までは専ら電磁気全範囲の履修を進めていました。原子は諦めました。

第1チャレンジ 理論試験 当日

 当日になって緊張し始めましたがもう遅いです。教科書や参考書など、印刷された媒体なら持ち込み可能なのをいいことに、机の上に積み上げて試験開始。

 いざ解き始めると熱力学が一切解けないことに気付きます。小問集合すらよく分かりません。原子はあったかどうかも覚えていません。これでは去年、ボルツマン定数が何か分からず、二次の理論第3,4問を投了した自分と何ら変わりません。参考書に頼り、何とか熱を埋めて80分経過、見直しをして試験終了です。

 終了後、旧Twitter(現X)で発見、誘って頂いた物理のコミュニティで解答速報をチェックしたところ、27問中少なくとも23問正解らしいことが分かりました。レポートには多少自信があったので、ここで一気に余裕と安心を感じ始めます。なお、実際は100点中77点(熱力学0点)でした。思ったよりわろし。

第2チャレンジまで

 ――が、第1チャレンジ通過通知が6月18日に人々に届き始めても到着せず、一気に心配になってきます。「都市部が早いだけ」とおまじないを掛けつつ翌日、祖母から物理のが来たと連絡を受け、勝利を確信しました。

 物理チャレンジの第1チャレンジ通過通知は普通郵便で送られるため、都市部と地方の田舎、離島では到着するタイミングが異なります。そのため、万が一他の人に届き始めていても、最大2日程度遅れて届く可能性はあります。

(参考 : 化学グランプリはレターパックなので、離島を除いて同じ日に届きます。)

 なお、同じ高校から出ていた友人は通過できなかったらしく、恐らく県唯一の二次参加者になってしまいました。コミュ力不足には厳しい展開です。(去年は地方で唯一の参加者だったから多少はね?)

 参加するための書類を送ってからは、取り敢えず理論問題の過去問をこなすことにしましたが、物理チャレンジの過去問をするには以下の注意点があります。

  1. 解答が存在しているのは2005年から2017年まで。
    2018年以降は参加者しか持っていない。【2023.09.08訂正】2018年から2020年の解答は販売されている。2021年以降は参加者しか持っていない。
  2. 2016年から問題形式が変わり、大問数が3から4に増えている。
    できればこれ以降の過去問を優先した方が良いが、上記との兼ね合いで微妙。

 2018年2021年以降の問題の解答は、知り合いの参加者から貰うしかない気がしています。私にはそんな知り合いはいなかった。

 また実験課題については、私は所属校が何かしてくれるわけでもないので特にノータッチで行ってしまいましたが、かなり手際が要求されるので練習すべきだと思います。高校や大学で練習させてくれるようなら是非お言葉に甘えましょう。

 あとは、地方の学校から一人で参加すると寂しいので、TwitterなどのSNS他で塩化(エンカウント)呼びかけをするといいかもしれません。

第2チャレンジ

1日目

主なイベント

  • 開会式
  • 実験試験

 岡山駅までは鉄道で家族と行きました。彼らは便乗日帰り観光をするらしい。岡山駅で昼食後別れ、私は会場に向かいます。あ、ここでの一人称は私ですが、性別は男です。

 会場入り後、自分から話しかけに行く勇気が無いので「誰か来てー」とTwitterで呟くと、ありがたいことに二人来てくれて人生初塩化を決めました(写真撮るの忘れた)。コミュ弱には嬉しい展開。

 さて、開会式を済ませた後、Discordで知り合った人とも無事塩化し、実験試験開始です。

 実験試験では、5時間で2つの実験課題をこなします。今年は回転体の慣性モーメントとダイオードのなんとかかんとかでしたが、例年よりやや簡単だったようです。私も特に躓くこと無く、2時間程度残して考察部分以外全て完了できました。噂によると満点(200点)が3人いたらしいです。

 今回分かった実験試験で気を付けることは「何かおかしいと思ったらすぐ試験監督者を呼ぶ」ことです。実験で得たデータが変なとき、実験装置が配布された段階で壊れていることがたまーにありますし、自分の操作方法が間違っていることもあります。特に前者の場合、粘ってもほぼ時間の無駄なので、すぐに試験監督者を呼んで対応してもらいましょう。実際には後者の場合でも、事故っている場所の発見が早くなる上、前者の見逃しが痛いので躊躇は不要だと思います。

 1日目夜はあまり疲れていませんでしたが、2日目の対策(熱力学と電磁気)のため交流はしませんでした。

2日目

主なイベント

  • 理論試験
  • 問題解説会
  • 後楽園・岡山城散策

 無事に4時起床を決め、適当に朝食を摂って理論試験開始です。

 1日目の実験が易化だったので、内心理論は難化だろうなと思っていましたが、やはり難化でした。理論試験では5時間で大問4つを解きますが、大問3,4はしっかり完答(満点というわけではない)したものの、電磁気が雑魚すぎて大問2は半分、大問1は解き忘れで6割くらいでした。やらかした、メダル無理だなと思いました、はい。

 そのため問題解説会は、寝ている隣人が押していく机を引っ張りながら上の空で聞きました。勿論、内容は勉強になるので聞いた方が良いと思いますよ。

 半分薄暗い状態の後楽園と岡山城の散策では、志望校と志望学科が完全に一致な人を見つけ、4日目までずっと一緒に喋ってました。というか物理チャレンジ、城行きがち。

 蛇足ですが、ホテルで名簿をチェックしていたところ、同じ県からの参加者を発見しました。面識はありませんでしたが、県唯一ではなかったです。

3日目

主なイベント

  • SPring-8 見学
  • Physics Live

 3日目以降は試験が無いので、専ら交流タイムとなります。今年もSPring-8の見学でしたが、来年もそうらしいので詳細は伏せます。一つだけ言うなら、まねき食品は姫路周辺だけでなく、兵庫県西部までも牛耳っているようです……内輪ネタすみません。

 Physics Liveでは、主に過去の物理チャレンジ本選の実験課題、および今年の国際大会(IPhO、APhO)の実験課題の解説などの展示があります。時間は長めなので、あらかた見終わったら交流タイムだと考えていいでしょう。この後ホテルに戻ってもロビー追放イベントが発生する可能性があるので……

4日目

主なイベント

  • 表彰式・閉会式

 4日目は午前に表彰式があり、昼前に解散となります。メダル獲得は絶望的だと思いながらも一縷の望みをかけ、緊張しながら表彰式開始。

 去年優良賞(銅メダルの次で、約上位50%の人)だったので、優良賞で名前を呼ばれたらどうしようとビビりながら過ごしますが、呼ばれません。自分の中でちょっと期待値が上がりました。そして無事、次の銅賞(総合約19位~30位)の時に名前が呼ばれ、総合27位でなんとかメダル獲得に成功しました。


【2023.09.12 追記】
 参考までに第二チャレンジの成績を掲載しておきます。今年は筆記が標準~やや難、実験が易~やや易という見解が多いと思います。

理論

大問 得点/満点 平均点
第1問 51/75 46.7
第2問 19/75 22.4
第3問 57/75 44.2
第4問 70/75 38.2
合計 197/300 151.6

実験

大問 得点 平均点
第1問 89/100 80.2
第2問 88/100 73.4
発展 8/20 3.8
合計 185/200 157.3

※実験について、第1,2問と発展の合計得点が200点を超える場合は200点と扱われます。


 ちなみに、物理チャレンジの表彰は以下の通りです。スポンサーの冠賞は多少変わるかもしれません。

※第2チャレンジ表彰のうち、実験1位などの特別賞は後程追記します。

  • 第1チャレンジ表彰
賞名 条件
東京エレクトロン賞 第1チャレンジ総合1位
東京理科大学賞 第1チャレンジ総合女子1位
実験優秀賞 第1チャレンジの実験レポートでSS評価
実験優良賞 第1チャレンジの実験レポートでSA評価
  • 第2チャレンジ表彰
賞名 条件
物理チャレンジ大賞 第2チャレンジ総合1位
金賞 第2チャレンジ総合1~6位
銀賞 第2チャレンジ総合7~18位
銅賞 第2チャレンジ総合19~30位
優良賞 第2チャレンジ総合上位50%
奨励賞 第2チャレンジに参加

 なお解散後、同班の男子8人で岡山名物・デミカツ丼を食べに行きました。とても美味しかったので食べてない人は是非。

おわりに

 まずは5000文字オーバーの駄文を読んでいただきありがとうございます! もう少し簡潔にまとめられれば良かったのですが、生憎文章力をどこかに捨てて来たので不可能です。

 さて、今回は物理チャレンジ2023の参加記として、私の体験を色々書きました。過去問の話など、重要なポイントは参考にして頂ければ幸いです。代表選考だとか、国際大会には行けていない者の戯言なので、他の部分は最悪読み飛ばしてもいいです。ただ、この記事で何より伝えたいのは「物理チャレンジは楽しい」ということです、間違いありません。第1チャレンジの実験が怠いとかはあると思いますが、競技科学全般において、本選(第2チャレンジ)に行く楽しさを知らない・知ろうともしない(予選にすら出ない)のは損です。

 みんな、物理チャレンジ参加してね!!!!!!!